2013.04.14 Sunday
サプライズ
喜寿の花束
街路樹の桜が風に舞って、三寒四温の季節の境目を体感しつつ季節の終わりの一日、早くから約束の<おいしいものを食べに行く日>数人と出かけた先は、週に一度の私の仕事場でもある山中のレストランでした。
偶然にも忘れ物をしていたために、ちょっと立ち寄ることになって、その忘れ物を受け取りに入った部屋に、生徒さんたち全員の、大勢の顔が一斉に飛び込んできました。
一瞬、何が起こったかわからないでいる私のまえに、たくさんの笑顔があって、ようやく事態が呑み込めた途端に涙があふれて・・・・
そこには、多忙のために月に一度しか稽古に来ることができない生徒さんたちの笑顔まであって、言いようのない思いが突き上げてきたのでした。
明日が誕生日、多忙に明け暮れていてその日が喜寿を迎える日であることなどとんと念頭になどなく、その前日に仕組まれて事態の把握を困難にされていた一日は、生涯の忘れられない日になったのでした。
花束とか贈り物とか、レストランのスタッフたちのメッセージカードまで添えられて、子供を持てなかった私の一日は、たくさんの子供たちの中に溶けていったのでした。
数日後、サプライズの延長は、自立した生徒さんとともに九重の山並みを走る高速バスの中にあって、遠出をしたくなった二人は、思いつくままノンストップで走るバスに乗ったのでした。
山桜や藤の花が咲く広葉樹と針葉樹が入り混じった山並みは、形容しがたい美しさで、全山が紅葉する姿を描きながら、二時間余をかけて温泉地に到着し、瀟洒な喫茶店でコーヒーを飲んで、また折り返したのでした。
穏やかな気持ちのまま穏やかに過ごした数日間は、急に寒くなったり暖かくなったりの季節の変わり目をやり過ごして、また多忙の中に消えてしまいました。
人として生きる優しさとあたたかさ、人生の節目に迎える初夏は、特別な思いの中にありました。