2013.08.24 Saturday
咲かなかった桔梗に・・・
殊のほか暑さの厳しい夏の一日、今年は、いつも毎年咲いてきた博多ユリが咲かない。その代り、白い百合があちこちに咲いた。博多ユリは、花びらの背に紅い筋が一本入る。花びらの一枚一枚の背にきれいな赤がスッと入っている。
東京から福岡に住んで、それは高砂百合ではないかと言ったら、即座に「博多ユリ」だといわれた。
固有種なのかもしれないと思った。
実際、山などで見る「ショウジョウバカマ」にも「筑紫ショウジョウバカマ」という固有種がある。
何はともあれ、その博多ユリが咲かない。
あちこちで見かける鉄砲百合は、それはそれで美しい。けれど、博多ユリに咲いてほしいのである。いつもの場所に咲いているので、博多ユリが変化したのではないかとも思っているが、少し淋しい。
来年は咲いてほしいと願っている。
異常な暑さが続いて、夕方たまりかねて2階の窓から外を見たら、異常なほどの美しい夕焼けがあった。
空が燃えていた。
今年の夏は、多くの不幸に見舞われた。
7月の終わり、義妹の夫が永い闘病生活の末、妻と娘を残して彼岸に旅立った。9年にわたって意識不明のままの旅立ちであった。9年にわたって、妻子は毎日を病院で過ごした。<行くところがなくなったね>通夜の席で2人がつぶやいていた。
そして、8月に入ってすぐ、私の弟が後を追うように亡くなった。<生きたかったね>冷たくなった頬に手を当てて、懸命に病と闘った弟につぶやいた。がんばって頑張って願い叶わず逝った弟に、本当は<楽になってよかったね>と心の底でつぶやいていた。不本意な死を死んだ弟に。
夏の終わり、異常な暑い夏の終わり、忘れかけた雨が降っている。瀕死の街路樹に音を立てて雨が降りそそいでいる。
−今年は、桔梗が咲かなかった気がするー